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【ニコ生】政策割り当てと金融・財政・再分配政策
りーふれっと
http://com.nicovideo.jp/community/co1936371?zeromypage_nicorepo



昨夜、こちらの場をお借りして生放送の機会を頂きましたので、その資料の抜粋をこちらに公開しておきたいと思います。


スライド2

スライド3

スライド4


ティンバーゲンの定理、マンデルの定理が主張していることは、きわめて簡単な事実です。

「やりたいことが2つあれば、その手段を少なくとも2つ用意しなければならない。」

「目的達成のためには、その目的に最も適した手段を用意すべきである。」



この二点が基本となります。


時事的な経済政策の事例で言えば、以下の通りです。

スライド5

スライド6



一方、政策割り当てを無視し、複数の目的をごっちゃにして手段を割り当ててしまうとどのようになるのか。
例えば、公共事業原理主義者や反経済学の人の思考を読み解くと、上とは全く異なる図式であることが推測されます。

スライド7


日本でこれまで起きてきた経済的現象の根本には「思想的問題がある」と捉え、なんとなくそれらの思想から全ての減少が波及してきた、と考えます。
(個別の事象を引き起こした具体的な政策の誤り、メカニズム、波及経路については、突き詰めた議論がなされることは少ないように思います。)

スライド8

そこで、「根本をたてばいい、根本を変えればいい」と考え、思想的な改変を訴えることになります。

その結果、何となく「保守っぽい」と彼らが考える政策が羅列されていくことになりますが、そこにも「どの目的に何を割り当てるのか」という発想ではなく、「何か分からないが真ん中にある根本を変えなければ」という発想なので、一つの政策で複数の目的に対して割り当てようとすることになります。

スライド9

例えば

「デフレには公共投資だけが有効である」

「中央政府の強力な指導で強靭な国土を」

「日本人なら日本人の命を守れ」

「米主導の新自由主義が日本をダメにした」



などの論に対応して「保守っぽい」政策、公共投資が持ち上がります。
(他にも「保護主義」「資本移動規制」があるようですが、ここではあえて公共投資とします。)

この場合には、公共投資という一つの政策手段に四つ以上の政策目的が割り当てられているため、「デフレ」「高失業率への対応」「脆弱な国土をなんとかする」「人命防護」という四つの目的のうち、例えばデフレを脱却してしまうと他の重要な目的とのトレードオフが発生することになります。

(なお、彼らの論に従っても、「インフレデフレは貨幣現象ではないから金融政策ではコントロールできない、財政でしか操作できない」ということなので、ある意味では自分で自分のクビを絞めていると言えます。もちろん、実際には金融政策で物価安定化を達成することが可能です。)


スライド10

政策割り当てと金融・財政・再分配


なお、一部で混乱が見られたセーフティネット・再分配政策の論点についても、政策割り当ての観点から取り上げておきました。

ベーシックインカムにせよ、その他の恒久的な所得移転政策にせよ、これらは景気対策ではなく所得再分配に割り当てられるものです。

景気対策としての減税や給付金政策とは切り分けて考えなければなりません。



スライド13

スライド14

TPP論議についても、「農業を見捨てるのか」といったような誤解があります。

細かいところはおいておくとして、TPPのうち農業に関わる政策目的を整理すると上のようになります。

実際には、農業保護(+保護費用負担の公平化)に割り当てられるべき政策手段として、関税ブロックか直接所得補償への切り替えが議論されつつあります。
(もっとも、この論点は与野党ともに認識不足のようです。)


スライド16

経済問題に限ったことではなく、最近大騒ぎになった集団的自衛権解釈変更に関わる国防の問題も取り上げました。


渾然一体となっている憲法論議、防衛論議ですが、その政策目的をきちんと整理してみると、上の図式のようになると思われます。


特に、「保守」の中には「9条があるから何もできない」の裏返しとして、「9条さえ改正させてくれれば・・・・」と考える人が少なくありません。

それが高じて、「私が生きている間に、内容はどんなにみっともなくても良いから9条だけは改正された憲法が見たい」という妄執に取りつかれてしまったケースも少なくないようです。


ここで注意しなければならないのは、9条を改正して名前だけ、または法的に「日本国防軍」にしたところで、それを以て「日本国防軍」が強い軍隊になるわけではない、ということです。

十分な人員と装備と補給を用意できるだけの予算もつけず、「憲法改正したんで君達は何でもできます、今すぐ拉致被害者を奪還して来い」では、人員をムダに死なせるのみならず、作戦目的も遂行不可能になるでしょう。

(ちなみに、敵前強襲上陸による拉致被害者奪還作戦は、失敗してはいけない類の作戦だと思われます。)


ここでも、感情論に基づく憲法論議だけでなく、「戦える国防軍」にするためのゼニカネの話は避けて通れないマジメな論点である、と言えるでしょう。

※ちなみに、拉致被害者奪還については、こうしたことを積み重ねる時間がなく、手持ちの外交オプションは全て使わなければならないのは承知のうえです。あくまで政策割り当て論や憲法論議、軍事問題を取り巻く言論状況として、という話をしています。


参考資料

重要な「政策割り当て」の視点 財政再建と経済成長を考える(下), 小峰隆夫, 2013.
http://business.nikkeibp.co.jp/article/opinion/20120608/233156/?rt=nocnt

5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(上), 片岡剛士, 2014.
http://diamond.jp/articles/-/50093

5つの視点で考える消費税増税後の日本経済(下), 片岡剛士, 2014.
http://diamond.jp/articles/-/50279

建設土木事業供給制約説+低所得者対策(飯田泰之先生), ブログ「中村てつじの日本再構築」, 2013.
http://d.hatena.ne.jp/NakamuraTetsuji/20130126

財政政策ならば防衛支出を増やす方が望ましいのではないか?(田中秀臣、飯田泰之、原田泰諸氏の主張再考), ブログ「Economics Lovers Live ReF」, 田中秀臣, 2013.
http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20130104#p4


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コメント

混同をしているとされている円の周りに円のある図ですが、
その構図においても政策割り当てはなされてますよね。

個別の目標達成には個別の手段が必要であるのは理解できますが、
だからと言って混同を批判する必要性は無いように思います。
個別の目標・手段は他の目標・手段と完全に無関係とは言えませんよね。
混同しているのは現実に起こっている現象で、副次的に重なり合っているのだとすれば
それに対する対策も混同しているように見えるのはおかしな事では無い様に思います。

公共投資→公共投資→インフレ(赤字)
の部分ですが、過度のインフレが問題になりそうであり尚且つ
インフラ整備や防衛力に不足があるのであれば、
増税や金融政策で対応すれば済むと思います。
累進課税はその点で良い税制では無いでしょうか。
インフレが酷い状況でもそれに対応しないで公共投資を増やせなんてどこの誰が言っているのでしょうか。(バブルの頃の小沢さんがそれだったそうですが)

農業保護に関しては政府が買い上げて食糧援助であったり安く市場に流すなどで良いのではないでしょうか。補助金ずけ農業がどうとか文句を言う人がおおいですが、日本の農業の維持と外国の食品を楽しめる豊かさの両立の為には必要な経費だと思って我慢くらいして頂きたいものだと思います。

人間の胃袋は限りがあるのですから消費される量は増えませんので食品の需要は奪い合いになります。その奪い合いに外国産品をさらに参入させる話ですから
TPPは日本の農家を潰す方向に向かわせると思っていましたが、どの点が誤解なのでしょうか。

[2014/06/20 03:14] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyuki さん>>

議論の都合上公共投資とインフレを結び付けましたが、これは彼らの論であり事実とは違います。
これははっきり言っておかねばなりませんが、公共投資でインフレにすることはできません。
インフレ/デフレは貨幣現象であり、総需要不足によって発生しますので金融政策を割り当てるのが筋です。

その他のことについては、全体的に当方の議論を踏まえない自説の開陳である、とお見受けしますので、返答しません。
[2014/06/20 13:39] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


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