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【MF】マンデル・フレミングモデルと公共事業にまつわる誤解
巷を闊歩する土建事案の方々、どうも変な言いがかりを方々に言って回っているようです。

なかでも、今回はとりわけアベノミクス、公共事業とマンデルフレミングモデルに関わる捻じ曲げについて。


患者さん達の言いがかりの中で、特に目についたのは(細かい言い回しの違いを無視して意訳すれば)次のようなものです。


1.リフレ派はマンデル・フレミングモデルをもとにして公共事業無効論を展開している。
(無論、彼らの脳内では「デフレ下ではMFモデルは無効」ということになっている。)


2.リフレ派はマンデル・フレミングモデルを信奉しているが、輸出が言う程伸びていないのだから嘘つきである。


3.リフレ政策は単なる金融緩和、円安誘導による外需頼みの近隣窮乏化政策である。



開放経済自体の解説は、マンキューやスティグリッツの教科書をはじめ、マクロ経済学の教科書には大抵書いてあるハズです。






簡単な概略はネット上でも資料がありますが、患者さんの暴走を見るにつけ、あまりそれだけで分かった気にならない方が良いと思います。

開放経済下の総需要
http://homepage3.nifty.com/ronten/ADinOpenecon.pdf



マンデル・フレミングモデルに置かれている仮定については、

・小国開放経済(国内金利が世界金利で決定される。)
・短期(物価水準が変動しないくらいの期間)


などで、変動相場制を採用している国では、

・金融政策有効 / 財政政策無効
・金融緩和→自国通貨安→純輸出増


という結論が出る、というところだけが素人の間で独り歩きしているような気がしています。

とりわけ患者さんは、この部分のみをトリミングして「リフレ派」エコノミスト・経済学者やその支持者に特攻をかけているわけです。
(それが先ほどの1~3.)


ところで、マンキュー、スティグリッツの教科書をきちんと見ると、マンデルフレミングモデルを実際のマクロ経済に適用する際には注意を要する、と書いてあります。
「いついかなるときも、変動相場開放経済の総需要変動=純輸出変動」みたいな説明はしていません

アメリカや日本の場合には「大国開放経済」として説明がされています。

それはちょっと考えれば当たり前で、日本の国内金利が国際市場の金利にいついかなるときも一致している、ということはないからです。


islm.png

大国開放


グラフだけ示せば、閉鎖経済(ISLM)と大国開放モデルは上のように比較されます。
(IS曲線の傾きの違いに注目してください。)
このグラフでは、金融緩和をした場合の影響を表しています。

開放経済モデルの方が金融政策の効果が大きいことが分かると思います。
金融政策の効果は、金利などを通じた閉鎖経済同様の経路と、為替を通じた経路、の二つを経由して経済を動かします。


詳しくは、専門的な資料を見ましょう。

量的・質的金融緩和の波及経路の整理
~異次元緩和の効果とリスク~
http://bit.ly/1hTaXjp


波及経路


ということで、「円安誘導、外需頼みの近隣窮乏化」だのの言いがかりは一蹴してよろしいかと思います。

それと、「資本移動規制しないと効果が漏えいする」だのの批判を言っている素人もみかけましたが、事実は逆で、少なくともモデルの話をするなら開放経済の方が金融緩和の効果は大きくなります。


関連して「輸出が云々」の話はこちら。

法人税減税とTPPで復活する日本〔1〕 - 原田 泰(早稲田大学教授)
http://blogos.com/article/80539/


『第二の批判は、「輸出が増えていない」という批判である。

たしかに、大胆な金融緩和がこれまでの異常な円高を抑えて為替レートを低下させ、輸出を拡大すると考えていた私にとってもやや意外な結果となっている。
金融緩和による株高などで投資や消費は伸びているが、輸出は伸びていない。
しかし、輸出が伸びないのは、「大胆な金融緩和が円安と輸出などの急増をもたらし、国際協調を危うくする」とか、「為替切り下げ競争が起きる」などと批判していた反リフレ派にとっても意外な結果であるというべきだろう。

そして、大胆な金融緩和がそれほど輸出を伸ばさずに景気を拡大するのであれば、それはよいことだと思う。
なぜなら、金融緩和が、国際的軋轢を増すことなく景気を拡大する方法であるとわかったからである。
金融緩和は為替だけでなく、資産価格の上昇や資金の利用可能性が増すこと、将来の物価上昇期待など、多くの経路を通じて経済を刺激するのである。
その効果が限定されていないことはよいことなのである。 』


金融政策の波及経路は先ほどの資料などにある通りです。
元々「円安誘導による輸出増大狙い」に限定した政策ではなく、波及経路を通じた国内総需要喚起政策である、ということがあまり理解されていないように思います。



以上が開放経済に絡む当方管理人なりの論点整理ですが、それとは別に、そもそも今の公共事業を巡る論点は「マンデルフレミングモデル」ではなく「供給制約問題」と「政策割り当て」の方です。


マンデル・フレミング効果ではないかもしれない
http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20120715



あるいは、




でも、「公共事業が円高を誘発した事実は観測されなかった」と飯田氏による論説があります。

(土建事案と患者さんは「MFが否定された!!」と歓喜していましたが、指摘されているのは「MF以前の問題です」という内容です。)



とにかく、プロの方々は、ネットで出回っているようなIS-LM曲線を左右に移動させるだけで全てを考えているわけではないのです。
批判をするなら、もう少し他人が何を言っているのか正確に引用するようにしてもらいたいものです。

酷いのになると、1分前に言われたことでも内容を180度ひっくり返して言い返して来たりするので。


最後にもう一つ言わせてもらうと、やれ「基本がなってない」だのと人を誹謗中傷しているネコ型ロボットなどは、次の基本がなってない人についても指導してあげたらどうか。


[安倍景気の行方] ついに暴かれたエコノミストの「虚偽」〔1〕
http://shuchi.php.co.jp/article/1877


『図1をご覧いただきたい。
この図が明確に示しているように、日本がデフレに突入して以降、国債発行額が増える一方で金利が上昇しているどころか、その真逆に低下している。

これは、デフレ下では資金需要が低く、かつ、金融緩和が一定進められている状況では、政府がどれだけ国債を発行しても金利は上昇しないという至って「当然」の現象なのだが、MFモデルはこの「当然」を考慮していないのである。

むろん、このことはMFモデルそのものの誤りを指摘するものではないが、少なくとも、いまの日本には「適用できない」ことを示している。』


MFモデルでは、

財政出動 → 円高

のみが観測される可能性もあるわけで、金利のグラフ描いて「上がってないからMFは適用できない」と言うのはよく意味が分かっていないからだ、と思われますが・・・?
(さらに言うと、実際には実質金利が財政出動期直後に一瞬上昇しているように見えますし、円高も進行しています。)

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コメント

金融政策は必要条件の一つだと私も考えますが、
財政政策はするべきではないという立場ですか? 
その点が割りと一番重要な気がします。

MFモデルが有効であったとして、輸出依存度の低い日本では外需よりも内需のほうが影響が大きいのではないかと素人考えですがあります。
財政政策=政府による投資・消費だとすれば、民間による消費・投資でも同様に円高になりませんか?政府だろうと民間であろうと、資金需要が増えれば金利に上昇圧力がかかるものナのではないかと思いますが、どこかこの考えに誤りがあるのでしょうか。

あと輸出の利益を得る為には為替以外にも相手国の赤字がどうか、社会が安定しているかも関係し、輸出増も円高要因と言われます。輸出で得られる賃金には限界が(割と低い天井)があるように思います。
内需主導であればバブルをうまく潰せれば青天井とまでは言いませんが、それに近い方向なのではないかと思います。
[2014/06/13 22:00] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyukiさん>>

いわゆる「リフレ派」と呼ばれる人達が財政政策を否定している、というデマが飛んでいますが、それは間違いですから誤解しないようにして下さい。

「財政政策=公共事業」ではない、ということです。
ついでに言えば、必要な公共事業を否定している人もいません。
[2014/06/13 22:05] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


私の質問が要約できていなかったようで失礼しました。

・財政政策はするべきではないという立場ですか?
・MFモデルが有効であったとして、輸出依存度の低い日本では外需よりも内需のほうが影響が大きいのではないか?
・公共投資と民間による投資の双方にMF効果があるのか? 公共投資だけにMF効果があるのか?

これが私の書き込みの主旨です。

http://toyokeizai.net/articles/-/12561?page=3
否定的ですよね
[2014/06/14 23:23] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyukiさん>>

・財政政策はするべきではないという立場ですか?

「財政政策」の意味によりますが、こちらの解釈では違います。


・MFモデルが有効であったとして、輸出依存度の低い日本では外需よりも内需のほうが影響が大きいのではないか?

ですから、本文でも内需の件を取り上げております。


・公共投資と民間による投資の双方にMF効果があるのか? 公共投資だけにMF効果があるのか?

というより、「金利が上がるという予想が発生するかどうか、その結果為替がどう動くか」という問題です。
[2014/06/14 23:34] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


財政政策というより公共投資と言うべきでしたね。

MFについては公共・民間とは無関係に金利上昇の予想が強まれば
円高圧力が発生するという理解でよろしいのでしょうか。
いずれにせよ金融緩和で対処すれば良いのではないかと思いますので
公共投資を批判する理屈にはならないのではないでしょうか。
[2014/06/15 10:13] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyukiさん

当方、「公共事業批判」などしておりませんが。
今の公共投資を巡る論点は金利や財政ではなく、物理的な供給制約問題です。
したがってマンデルフレミングは現時点では直接関係はありません。
本文にもそのことは書いてありますので、読んでからコメントしてください。
[2014/06/15 11:14] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


nobuyukiさん

ついでに気になったので指摘しておきますが、

金融政策はデフレ脱却の必要条件

という言い回しは「金融政策だけでは効かない」という誤解を招くと思います。
金融政策のスタンス変更は「デフレ脱却の必要十分条件」にかなり近いもの、という理解で問題ないと思います。
[2014/06/15 11:16] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


貴方がMFを用いて公共投資批判をされているわけではなく、供給制約が問題であるという考えでいらっしゃる事は承知しております。

ただ供給制約が無いと仮定した場合、期待に働きかけるだけじゃなくて実際に政府が消費してくれた方が効果は早くでてくると思うのですが、これを言うとMFを持ち出して反論されそうです。
さらに他所でリフレ派の方がMF効果を理由に公共投資に難色を示している方がいましたので質問しました。
(この話は「必要十分条件」の件へのレスでもあります。)

実際にMF効果があるとお考えでしょうか。そうであれば、MFによる円高を招かない為に、日本国内の景気をよくしないようにしなくてはならないという話になりそうですがどうなのでしょうか。
金利が上がるのは景気が良くなっている証拠なのだから、良いことだという話を聞いた事があります(確か上念氏だったと思いますが少し記憶が曖昧です)
上記の事を考えると、MF効果があったとしても気にする必要は無いという考えも在り得ないか?とも思います。混乱した話で申し訳ありません。


供給制約(建設業の話だという前提でしております)
に関しては良い値段をつけて注文を増やせば人数を増強するでしょう。
短期的には制約が問題になりますが、どの道人材育成は必要ですので
早めに良い値段をつけた公共投資発注して人材育成に取り組んでいただく方が良いと思います。その間は民間の設備投資が割りを食うことになるでしょうが、その点はトレードオフになるかと思います。

[2014/06/20 02:20] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyuki さん>>

供給制約がないと仮定し、金融政策のサポートが不十分なまま公共投資を大量に突っ込んだ場合、当然MF効果が表れ円高になる可能性があります。
(MF効果の話をするのなら、金利だけ見てもあまり意味がありません。)

それで「金利を上げないためには景気をよくしない方が・・・」というのは、金利などを自然現象ととらえるからです。
実際には、金融政策により相当のコントロールが可能です。

リフレーションに財政を併用する、というのは、金融政策を先行させるという条件で私は賛成ですが、今行われている財政政策は分野が偏りすぎで、リフレーションの政策目的にかなっていません。
減税、給付、支出するなら分野を幅広く、という形で行う必要があります。
(次の記事の政策割り当ての議論も前提となります。)

それと、簡単に「トレードオフ」という言葉を使われましたが、事実は違います。

http://goo.gl/1ZyzEi

こちらをご覧ください。
[2014/06/20 13:53] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


公共投資をやるなら金融政策でしっかり為替を安定させましょうという話なのですね。
ものの言い方に違いはあっても、結論は私と貴方とでは差が無いように思います。
MFについては納得がいきました。ありがとうございます。

トレードオフという言葉を使ったのは、民間の設備投資や住宅購入の価格が上がるとうい損と引き換えにしてでも、まずは防災に投資をした方が良いという意味です。

リンク先の記事の建設業社の話から考えるべき論点は
どうやってこの業者の不安を取り除いて供給力を増やすようにしてもらえるかだと思います。
供給制約があるから防災復興への投資は控えめにしますというのでは困ります。

公共事業万能論というのは恐らく金融政策を否定して公共事業だけを勧める論なのだろうと思いますが、そのような主張をされてる方は誰でしょうか。
木下征伐を奨励するのであれば同様にそのような人物も個人攻撃する必要もあるのでしょう。
[2014/06/21 01:16] URL | nobuyuki #- [ 編集 ]


nobuyukiさん>>

供給制約があるから防災復興への投資は控えめにしますというのでは困ります。>>

「控えめにする」じゃなくて、今が一気にやりすぎなんです。
このスキームをさらに強化して強行突破しようとすると、それこそ必要な工事に障害が出かねません、というかもう出てます。

金融政策は公共事業の補助機能ではない、という点で私とあなたは全く相容れません。差が大きい。

これは事実確認の問題であって、議論の対象ではありませんので、調べてみてください。
[2014/06/21 10:10] URL | 管理人 #- [ 編集 ]


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